よく、日本だけ世界的にみて給与が上がらない、ということが言われる。本当だろうか?答えは図を見れば明らかだ。OECDの統計をもとに作成した図を見ると、どの国もここ数年給与は横ばいなのである。
唯一例外なのがアメリカだ。2020年頃から大幅に給与が上がっている。なんと約10年間で10%近い上昇だ。しかし、2020年といえば、 - 失業率のデータ でわかる通り、アメリカは8%以上もの失業率を記録した年だ。そして、 - 2025、世界で研究開発費増大 に見る通り、2020年は各国とは規模の異なる研究開発費の急激な増大を記録した年でもある。大量失業、AIへの大規模投資、平均給与の大幅な上昇、そして上がり続ける失業率。データを見渡すと、この現状が見えてくる。
ここで、このデータは PPP conveted、つまり購買力平価というらしいが、その影響を取り除いたものだ。つまり、物価レートを考慮に入れたデータである。何が言いたいかというと、物価レートを考慮に入れているだけで、物価上昇を考慮していないデータなのである。ビックマック指数のように、同じ商品を違う国で買うときに現状の通貨レートのまま購入できるという前提を考慮に入れているというだけである。そう、世界的な物価高は分母と分子、両方を膨らませるがごとく、このデータには現れないのである。
次は上がり続ける物価を世界のデータから見ていこうと思う。